キャロリン・ビーズリーの特集記事
西オーストラリア州のオーストラリア・コーラル・コースト(Australia’s Coral Coast)では、大海原でザトウクジラがブリーチングし、太古のままの原野に野生の花々が咲き乱れ、花の蜜を求めてハチ達が羽音を立てて飛び回っています。
カーナーボン(Carnarvon)にあるウーラムラ・エコ・カルチュラル・ジャーニーズ(Wooramulla Eco Cultural Journeys)のレネー・ターナー(Rennee Turner)は、太古から数万年にもおよぶこの国の歴史を大切にしています。この会社のツアーでは、陸地と空、植物と動物の季節的な変化を旅行客に紹介し、そこに息づく文化との深いつながりについて説明してくれます。
クレイパン(乾いた泥のくぼ地)をじっと眺めていると、フトハナバチ(Dawson’s burrowing bee)が地面を掘って作った巣から顔を出し、そのギョロリとした目玉と目が合うかもしれません。まもなく、柔らかい毛に覆われた生き物が姿を見せ、冬眠後の空腹を満たすために、エレモフィラの低木や固有種のブルーベルの花の周りを飛び回ることでしょう。
カーナーボンでは、インガルダ語(Yinggarda)で言う Biddijin の季節がやってきました。この季節には、比較的害の少ないこの固有種のハチが活発に行動し始めます。ウーラムラ・エコ・カルチュラル・ジャーニーズのオーナーであるレネー・ターナーによれば、ブルーベルは風で花をカサカサと揺らし、地面の下に棲むこのハチを呼び寄せ、花粉を運んでもらおうとしているそうです。

カーナーボン、ウーラムラのツアーでガイドをするレネー
レネーは、自然観察は彼女の毎日の生活の一部だと言います。
レネーはこう話しています。「私が大切にしているのは、皆さんがカントリーとつながり、カントリーも皆さんとつながることです。そうすればカントリーは常に皆さんに話しかけ、何かを見せてくれるでしょう。足を止めて、観察し、耳を澄ませるだけでいいのです。」
レネーは、このうち最後の「耳を澄ます」が最も重要だと言います。インガルダ族である彼女は、現在インガルダ語を学習中だと言います。母親と兄から習っているのですが、彼らは今や世界に5~6人ほどしかいないインガルダ語の流ちょうな話者のうちの2人なのだそうです。
レネーが主催するツアーの中心となるのは文化であり、その中にはちょっとした言語の説明も含まれています。また、ブッシュフード・リバー・ツアーズ、タウン・ツアーズ、ナイト・スカイ・ツアーズなども行われており、ケネディ山地(Kennedy Ranges/Mundatharrda)やハニカム渓谷(Honeycomb Gorge/Mingah Munda)も訪れます。

ケネディー山地、ガスコイン・ジャンクション付近
つい最近、レネーは Biddijin の季節が到来する新たな兆しに気が付きました。
「雲が変わるの。2か月前の時期に来たなら、渦を巻くような巨大な雲を見られたでしょうね。見られる虫の種類も変わるし、鳥たちの行動も活発になるわ。この時期にはトンボはもう見られないわね。」
Biddijin はカーナーボンではワイルドフラワーが咲き始める季節であり、レネーが主催するツアーのゲストが、緑色に咲くバードフラワーなどのさまざまな種類の花々を目にできるようになる頃です。
「これらの植物は、肌を洗う石けんの代わりや、利尿剤まで、実にさまざまな用途に使われていました。この花はスポーツドリンクにもなるんです。そして花はだんだん実になって、最後は「翼」がなくなるの。実の内側にはそれはきれいな種が入っているわ。」

カーナーボン、ウーラムラのツアーでガイドをするレネー
この季節のレネーのもう一つのお気に入りは、シャークベイ・デイジーです。
「ついこの間、最初の花を見つけたの。すごく嬉しくて。どうしてかわからないけれど、その花の匂いをかぐと、とてもリラックスできるのです。」
そしてレネーの言うことが正しければ、カーナーボンはワイルドフラワーが咲き乱れる季節を迎えます。
「山火事、つまり自然発生の山火事も、本当にちょうどよい加減だったと思っています。そしてちょうどよい量の雨が、ちょうどよいときに降った。だから、今年が輝くほど美しい年にならなければ、私は大ショックです。」
冬期のアボリジナル文化体験はもう一つあります。北に向かい、ニンガルー(NingalooまたはNyinggulu)コーストの伝統的な所有者であるバイユング族(Baiyungu)のヘーゼル・ワルガー(Hazel Walgar)を訪ねましょう。ヘーゼルが経営する会社、バイユング・ドリーミング(Baiyungu Dreaming)では、コーラル・ベイの休暇村から四輪駆動車で出かけ、一緒に歩くツアーを行っています。 ヘーゼルの先祖らがかつて歩いていた秘境を訪れてみましょう。その中には、アボリジナルピープルが作った工芸品も多く混じっている貝塚や、砂漠の中に湧き出る淡水、そしてウミガメの産卵地などもあります。

ニンガルー・リーフ、バイユング・ドリーミングでガイドをするヘーゼル
ゲストはタコとファイブ・フィンガー・リーフ(five-finger reef)が登場するドリームタイムの物語を聞いた後、万華鏡のように熱帯魚が泳ぐアクアマリンの海でシュノーケルをします。本物のタコも見られるかもしれません。冬の時期にシュノーケルをするなら、海中の音に耳を澄ませてみましょう。運がよければ、オスのザトウクジラの歌声が聞こえるかもしれません。これは実に心に響くものです。

ニンガルー・リーフ、バイユング・ドリーミングによるタグアロング・ツアー
海の中に入りたくない場合は、カーダビア(Cardabia)にあるヘーゼルの自宅を訪ねてみましょう。1,732km² の広さがある大牧場で、バイヤング・アボリジナル・コーポレーション(Baiyungu Aboriginal Corporation)が運営しています。有名な西海岸の夕日はきっと思い出に残ります。キャンプファイヤーを囲んでダンパー(Damper)とビリー・ティー(Billy Tea)を食べながらヘーゼルの話を聞きましょう。彼女が取り組んでいるニンガルー(Ningaloo)の考古学プロジェクトや、大牧場での興味深い生活の様子などを聞かせてくれます。
(情報:2023年7月現在)