キャロリン・ビーズリーによる特集記事


ジャラ(jarrah)の木やマリ(marri)の木の樹冠の下を、2台のマウンテンバイクが滑らかに走り抜けます。ラインの選択もスムーズで、タイヤはバームをしっかりとグリップしています。 

まだら模様になった日陰では、カラフルなオウムが鳴き交わしています。サイクリストにとって、この森の外側の世界、この瞬間以外は存在しないことと同じこと。ここはマウンテンバイクを楽しむ人たちの究極の目的地であり、「フロー」と呼ばれる自然との一体感を味わえる場所です。人々はそのためにこの地を訪れます。

マウンテンバイカーは自分が夢中になることをわかっています。そしてパース(Perth/Boorloo)からであれば、自分たちのニーズを満たす場所がそれほど遠くないことも知っています。パースから南へ90分のドウェリンガップ(Dwellingup)と、パースから南へ2時間、あるいはバンバリー(Bunbury)から30分のコリー(Collie)は、西オーストラリア州でも有名なバイク・タウンです。

2018年から、西オーストラリア州政府は生物多様性保全観光資源局(Department of Biodiversity, Conservation and Attractions)を通じて、この街に世界クラスのバイク・トレイルを敷設することに1,000万ドルを出資し、フローを味わえるトレイルを180km 以上にわたって整備しました。

ドウェリンガップ・アドベンチャー(Dwellingup Adventures)の代表、アリシア・カルーゾ(Alicia Caruso)は、マウンテンバイクは自分の身体の一部だと言います。彼女の代々の家業はマウンテンバイクのレンタルで、この地で30年近く営業を続けています。


ドウェリンガップ、ドウェリンガップ・トレイル&観光センター

ドウェリンガップ、ドウェリンガップ・トレイル&観光センター


「私はマウンテンバイクとともに育ってきましたが、確実に人気が出てきたのはこの5年ぐらいですね」とアリシアは話します。「以前は、知識や経験が必要でしたが、今では特に計画も立てなくても、気軽に楽しめるようになりました。自転車を借りて、ドウェリンガップ・トレイルズ・センター(Dwellingup Trails Centre)の玄関から出たら、すぐにトレイルにアクセスできます。」

ドウェリンガップ・トレイル&観光センター(Dwellingup Trails and Visitor Centre)は、1,000km の長さがあるマンダ・ビディ(Munda Biddi)マウンテンバイク・トレイル、ビバルマン(Bibbulmun)・ハイキング・トラック、そして歴史のあるホーサム・バレー鉄道(Hotham Valley Railway)が交差する便利な場所にあります。センターには駐車場、ウェイポイント・カフェ(Waypoints Café)、温かいシャワー設備、無料WiFi、さらにランドリーやバイクの洗車設備まであります。

アリシアは、自然の中で過ごすことは精神的にもメリットがあり、ここではすぐに自然に浸ることができると語ります。

「ドウェリンガップ・トレイル・センターから道を渡ったら、もう森に入れるんです。すぐに深い森に入ったような気分になれますよ。」

ドウェリンガップでは、サイクリストが楽しめるようにトレイル・ハブもいくつか設置されています。マリナップ・トレイル(Marrinup Trail)はクロスカントリー用の周回コースで、昔のイタリア人の戦争捕虜収容所へと続く脇道があります。近くにある、ターナー・ヒル・トレイル(Turner Hill Trail)は11km の長さの周回コースがメインですが、5km の抜け道もあります。また年少のバイカーは簡単なキッズ・トラックを走ることができます。

レーン・プール・リザーブ(Lane Poole Reserve)のマレー・バレー・トレイル(Murray Valley Trails)は、西オーストラリア州に生息する動物の名前が付けられたコースが特徴です。まずは簡単なクオリティ・ストリート(Quollity Street)から試してみて、徐々に中級のクオッカモリー(Quokkamoly)へと進んでみてください。上級者向けの下り坂コースとしては、カラカトア(Karrakatoa)があります。


ドウェリンガップ、レーン・プール・リザーブ

ドウェリンガップ、レーン・プール・リザーブ


アリシアは、サイクリストにとってドウェリンガップが魅力的なのは、専門的に設計されたトレイルだけでなく、自転車以外の楽しみも用意されているからだと言います。

「ドウェリンガップには乗馬用トレイル、ハイキング・トレイル、パドリング・トレイル、四輪駆動車用のトレイル、キャンプ施設もあります」と彼女は説明してくれました。別の角度から森のスリルを味わうために、サイクリストの多くはツリートップス・アドベンチャー・ドウェリンガップ(Treetops Adventure Dwellingup)を旅程に加えています。樹冠を通り抜けるジップラインで、鳥の目で風景を楽しむことができます。


コリー近郊、ブラック・ダイヤモンド・レーク

コリー近郊、ブラック・ダイヤモンド・レーク


さらに南にあるコリーには、150km のトレイルがもう一つ待っています。ハネムーン・プール(Honeymoon Pool)、ポッターズ渓谷(Potters Gorge)、ケプワリ湖(Lake Kepwari)の近くにテントを張ることができるほか、さまざまな種類の宿泊施設を選ぶこともできます。


ウェリントン・フォレスト、ハネムーン・プール

ウェリントン・フォレスト、ハネムーン・プール


自転車を借りたり、アドバイスを求めるには、クラッキン・サイクルズ(Crank’n Cycles)に立ち寄ってみましょう。地元の専門家が手伝ってくれます。

町の中には、コリー・ワギル・ビディ・トレイル(Collie Wagyl Biddi)があり、初心者や中級者向けの9km のコースとなっています。コリーのすぐ北側には、アークロウ・トレイル(Arklow Trails)があり、マンダ・ビディ・トラック(Munda Biddi Track)経由で行くことができます。ジャンプやログのあるレイズ・トレイル(Ray’s Trail)で、「フロー」を味わうこともできます。また、ハンドサイクル・バイクにも適した、障がい者向けの新たなトレイルをチェックしてみるのもおすすめです。

マウント・レナード・トレイル(Mount Lennard Trails)は、ウェリントン国立公園(Wellington National Park)にあるワムベンガー・トレイル・ネットワーク(Wambenger Trails network)の一部で、下を流れるコリー・リバー(Collie River)の眺めが素晴らしいトレイルです。ここでのおすすめはグリズリー・トレイル(Grizzly Trail)ですが、最下部にあるジャンプのネットワークを見逃さないようにしてください。近くには、緑が豊かなウェリントン国立公園トレイル(Wellington National Park Trails)があり、ここには40km(さらに延長中)のネットワークがあります。新しいフロー中心のマウンテンバイク・トレイルで、ハイキング・トレイルや二重用途のトレイルもあります。マリとジャラの豊かな森の間を抜けるトレイルです。メインとなるトレイルの起点は、キオスク・バイ・ザ・ダム(Kiosk by the Dam)になります。あるいはポッターズ渓谷またはハネムーン・プールのキャンプ地から自転車に乗るか歩くかして、そこからトレイルに入ります。

キオスク・バイ・ザ・ダムは休憩して喉の渇きを癒すのにぴったりのスポットです。ウェリントン・ダム(Wellington Dam)の壁に描かれた巨大な壁画、「リフレクションズ(Reflections)」もなかなか壮大で、これはコリー・ミュラル・トレイル(Collie Mural Trail)の一部となっています。

キオスクのオーナーであるトレバー・メッセンジャーは、この自然の楽園の中で働ける機会を満喫しています。

「ここの静けさは素晴らしい。自分たちだけのときは、外に座ってコーヒーを飲むんだ。オウムの姿を見るし、時にはエミューが現れることもある。夜になるとカンガルーがやってくる。ワラビーやポッサムもやってくるよ。」

このキオスクはアルコールも提供するカフェとなっています。またキャンプ場やグランピング施設もあり、自転車を借りることもできます。


コリー近郊、アークロウ・トレイル・ネットワーク

コリー近郊、アークロウ・トレイル・ネットワーク


アドレナリンを最大限に放出させたいなら、毎年恒例のイベントに合わせて旅の計画を立て、他の上級者達と技術を競い合ってみてはいかがでしょう。毎年9月には、ドウェリンガップ 100(Dwellingup 100)が開催されます。距離は20km から100km まであり、さらにトレイルランのイベントも行われます。またコリー・リバー MTB マラソン(Collie River MTB Marathon)は毎年7月に開催されます。距離は35km から85km まで。障がい者や子供のレースも行われます。

そこまで極端でなくても良いという人には、ドウェリンガップの近くにアリシアおすすめのマウンテンバイク・トレイルがあります。そこは BFG と呼ばれています。

「ここはあらゆる人向けのトレイルで、緩い下り坂のクロスカントリー・トレイルです。緩やかなバームと小さなテーブルトップがありますよ。BFG は没頭できるタイプのトレイルね。マウンテンバイカーは「フロー」トレイルと呼んでいるわよ。」

アリシアや多くのマウンテンバイカーにとって、「自然との一体感」を意味するフローは無視できない要素です。「そうね、私は自転車に乗ると、いつもフローを感じるわ」と彼女は語ってくれました。


(情報:2023年8月現在)