西オーストラリア州のアーティストたちは、故郷の自然の絶景から魔法のような作品を生み出し、見る者を「カントリー」の郷愁へ誘います。
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西オーストラリア州政府観光局が実施する「さあ、夢の世界へ旅立とう(Walking On A Dream)」キャンペーンの最新版を見れば、西オーストラリア州にしかない夢のような体験に浸ることができます。アイデアの構想から印象的なオーケストラの曲まで、西オーストラリア州のストーリーは、日々感じる自然の驚異とともに暮らし、息づいている地域の人々によって語られています。
アンジェラ・ラッソは西オーストラリア州政府観光局のブランド・クリエイティブ部門の責任者で、キャンペーン制作チームを率いています。
「『さあ、夢の世界へ旅立とう』は、引き続きアボリジナル・カルチャーを尊重し、自然界のあらゆるものがつながることを目指しています」と、アンジェラは語ります。「西オーストラリア州の風景に飛び込むと、つながりを深めるような体験がしたくなるでしょう。」
西オーストラリア州の「さあ、夢の世界へ旅立とう」
新しいキャンペーンでは、こうしたコンセプトを新たな見せ方で提示しています。たとえば、エンパイア・オブ・ザ・サンの代表曲、「Walking On A Dream」にアレンジを加えています。
「西オーストラリアの地元アーティストが音楽に新しい解釈を加えたことは非常に重要でした」と、アンジェラは説明します。「そして西オーストラリア交響楽団(West Australian Symphony Orchestra)に参加してもらえることほど最高なことはあるでしょうか。」
オーケストラ(別名 WASO)に加え、曲にはボーカルとしてビリージョー・ショベラーを迎えました。ブルーム(Broome/Rubibi)の南に位置するビッドヤーダンガ(Bidyadanga)出身のカラジャリ(Karajarri)族の男性です。この楽曲が他のアーティストたちによって録音されたのは今回が初めてで、バンドのリーダーかつボーカルの西オーストラリア州出身のルーク・スティールがスタジオでサポートしました。この楽曲でビリージョーは、タッピングスティック、ブーメラン、さやなどを含む楽器も演奏していています。
「音楽は感情を生み出しますよね」と、アンジェラは言います。「なじみの楽曲に気付くと思いますが、WASO とビリージョーのボーカルを聞けば、美しいと感じるはずです。」”
アンジェラは、キャンペーンに登場する主演俳優が西オーストラリア州を体現していると説明します。ネルソン・ベーカーはブルーム出身のニキナ・アボリジナルの男性で、アンジェリカ・ブラゼスカはパース生まれパース育ちで、マケドニアにルーツを持つ人物です。どちらも西オーストラリア・パフォーミングアート・アカデミー(Western Australian Academy of Performing Arts)を卒業していて、西オーストラリア州の非凡な人材として挙げられています。
このキャンペーンの最新版は、オリジナルのコンセプトを考案したザ・ブランドエージェンシー(The Brand Agency)がコンセプトを作りました。コピーライターのアリダ・ヘンソンとアートディレクターのステファン・ハンセンはどちらもパース(Perth/Boorloo)を拠点に活動しています。
ビリージョーが登場する「さあ、夢の世界へ旅立とう」の舞台裏
「オリジナルの『さあ、夢の世界へ旅立とう』はわりと様式的になっていました」と、アリダは言います。「『さあ、夢の世界へ旅立とう2.0』は、幻想的なリアリズムで、実際にありえそうなものを扱っています。土地とカントリーにつながりを感じていくカップルの登場から始まります。するとカントリーが、西オーストラリア州の驚くべき自然に浸るように誘います。これは会話です。」
キャンペーンでは「マーマレーション」のテーマを扱っています。この言葉は通常、群れを成して1つの魅力的な存在に見えるように飛ぶ鳥に使われます。キャンペーンでは、自然現象が想像のマーマレーションを通じて魔法のような瞬間を作り出します。
「このマーマレーションはすべての自然現象の中に存在することを具体的に表現しました」と、ステファンは言います。「鳥の群れが飛ぶ様子を表しますが、魚が群れる様子も表し、流れる滝からほとばしる水しぶきも表し、砂丘から飛んでくる砂も表します。
印象的なビジュアルだけでなく、キャンペーンにはコンセプトにぴったりはまる、感情を呼び起こす楽曲が必要でした。
「音楽がカントリーの声になるのではないかという気がしています」と、アリダは言います。
ステファンも同意し、WASO とビリージョー・ショベラーによるバージョンの「Walking On A Dream」は最高の出来だと言います。
「部屋でその楽曲を初めて聞いたときのことを覚えています」と、彼は言います。「まさにびっくりでした。言葉が出ませんでした。」
西オーストラリア交響楽団が登場する「さあ、夢の世界へ旅立とう」の舞台裏
楽曲のアレンジに関わったメンバーの中にはジョシュア・デイビスがいます。WASO の主席トロンボーン奏者で、「Walking On A Dream」のレコーディングにも参加しています。
「この楽曲のオーケストラバージョンに参加できたことを本当に誇りに思います」と、ジョシュアは言います。「新しい光を当てた、聞き覚えのある楽曲というのが素晴らしいです。」
WASO チームにとって、レコーディングは普段の演奏活動とは少し異なるものでした。
「オーケストラの各セクションは、弦楽器、木管、金管、パーカッションと、それぞれ別々にレコーディングしました」と、ジョシュアは言います。「普段は一緒に演奏して、全体の中での自分たちのパートのあり方を考えながら演奏するので、興味深い経験でした。」
ジョシュアにとっては自慢の種にもなりました。
「ここからは、非常に幅広いジャンルのミュージシャンが生まれていて、東海岸の誰にも引けを取らないレベルです」と、彼は言います。「素晴らしい才能ある人たちがたくさん集まっています。」
トム・プライスからカリジニ国立公園へ続く道
カントリーの呼び声に関するキャンペーンを作成するにあたり、こうしたクリエイティブな人材はその真髄を体感してきました。ジョシュアにとって、「Walking On A Dream」のレコーディングは、アウトバックの思い出を呼び覚ましました。
「楽曲には先住民の要素が多く含まれています」と、彼は言います。「数年前にトム・プライス(Tom Price)とカリジニ国立公園を訪れたので、特にそのときの西オーストラリアらしい赤い大地やユニークな景色を思い浮かべました。」
アリダにとって、キャンペーンのために現地に行った際に伝統的に守り継いできた人々からカントリーに歓迎されたことは、つながりを実感する経験でした。
「ゼベディー湧水(Zebedee Springs)(エル・クエストロ原生公園(El Questro Wilderness Park)内)での歓迎は本当に美しい体験でした」と、アリダは言います。「そこには改めてまた行かなければと思います。」
ステファンは、今回の仕事で別世界のような景色を初めて見たと言います。カナナラ(Kununurra/Goonoonoorrang)のミリマ国立公園(Mirima National Park)やエクスマウス(Exmouth)近くのニンガルー・リーフ(Ningaloo Reef)などを訪れました。
「そのとき思ったのは、人生の大半を過ごしてきたこの場所は、他のどことも違うということでした」と、彼は言います。「西オーストラリア州をもっと知りたいという気持ちになりました。」
それがカントリーに呼び寄せられるということで、決して消えない気持ちです。
(情報:2026年2月現在)