オーストラリア・コーラル・コースト(Coral Coast)にあるニンガルー・リーフ(Ningaloo Reef)では、3月から4月にかけて、珍しい爆発的な生命の営みが見られます。サンゴの産卵によってサンゴ礁が若返り、ニンガルー・リーフ最大の住民にとって豊富な食事がふんだんに提供されることになるのです。
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ニンガルー・リーフ(Ningaloo Reef (Nyinggulu))に夕日が沈むと、チョウチョウウオはサンゴの腕の中に隠れ、スズメダイはサンゴの粘液の寝袋の中でうたた寝をします。そこに、ウツボやタコがお腹を空かせて目を覚まします。
この前の満月からほんの1週間あまり。小潮のときは水の動きが少なく、ちょうど良い水温になります。自然界の複雑な波長に同調して、アネモネに似た、幅わずか数 mm の小さな動物、サンゴのポリプが触手を広げ、大自然の海に小さな卵の束を差し出します。精子と卵子の雲は、周囲の他のポリプからも、さらには100km 離れたサンゴからも放出されます。

ニンガルー・リーフのサンゴ
この繁殖の祭りは「サンゴの一斉産卵」として知られ、ニンガルー・リーフでは3月から4月にかけて見られます。一斉産卵はたった数晩の出来事ですが、秋を通して産卵するサンゴもいます。何百万もの卵子と精子を一気に放出することで、サンゴはその中のいくつかが確実に出会って受精できるようにしており、こうして種を永続させているのです。これらの赤ちゃんサンゴは海流に乗って浮遊した後にサンゴ礁に定着し、新しいサンゴのコロニーを形成しはじめ、サンゴ礁を補充します。
At 300-kilometres long, the UNESCO World Heritage-listed Ningaloo Reef is one of the largest fringing reefs in the world. It hugs the shore near Exmouth and Coral Bay, home to the Jinigudera & Baiyungu, with aquamarine coral lagoons slotted between the ancient red canyons of the Cape Range National Park and the deep blue wonders of Ningaloo Marine Park. In just a few fin kicks, visitors can join a school of stripy convict surgeon fish, come eye to eye with a grazing turtle, or admire a blue-spotted stingray.
ユネスコ世界遺産に登録されているニンガルー・リーフは、全長300km にも及ぶ世界最大級のサンゴの裾礁です。ジニグデラとバイユングの人々が生活するエクスマウス(Exmouth)とコーラル・ベイ(Coral Bay)近くの海岸を囲み、ケープ・レンジ国立公園(Cape Range National Park)の古代の赤茶けた渓谷とニンガルー海洋公園(Ningaloo Marine Park)の驚愕の深い青の間にアクアマリンのサンゴ礁のラグーンがあります。わずか数回のドルフィンキックで、シマハギの群れとたわむれたり、自由に泳ぎ回るウミガメと目を合わせたり、青斑点のアカエイを観察したりすることも可能です。

ニンガルー・リーフの海洋生物
サンゴの産卵は夜間にしか行われないため、ほとんどの観光客は海に浮遊しているピンク色の卵を観察することしかできません。しかし、ここでは他にもその合図があり、それがもう少しはっきりと見えます。
サンゴの産卵は、微細なプランクトンやエビに似たオキアミの大群にとって、栄養豊富な餌の大当たりを引き当てたようなものです。この豊かな自然は、ニンガルーで最も有名な生息種のひとつ、謎めいたジンベイザメにとってもたまらない魅力となります。広い海を回遊するジンベイザメは、毎年3月から8月にかけて、サンゴ礁の目に見えないリズムに合わせてやって来ます。
ジンベイザメは体長最大18m まで成長しますが、ニンガルーを訪れるジンベイザメのほとんどは、体長が2~12m の思春期のオスです。ジンベイザメには歯がなく、巨体ながら人間にとっては無害。濾過摂食をするその口の大きさは最大1.5m にもなることもありますが、プランクトンでもない限りはまったく安全です。

ニンガルー・リーフにいるジンベイザメ
年間約600匹のジンベイザメが訪れるこの場所は、その世界最大の群生地であり、オーストラリアで唯一確実に目撃できる場所でもあります。世界最大の魚のそばで泳ぐという、夢のような忘れられない体験を求めて、ライセンスを持つツアー会社のツアーに参加するためにエクスマウスやコーラル・ベイから観光客が押し寄せるのも理解できます。
経験豊富なガイドの後について水中を浮遊しているところに、ジンベイザメが水面近くまで上がってきます。水の中で観察していると、まず目に入るのが洞窟のような口。こちらに向かって泳ぎながら、美味しい餌であるプランクトンをその口でこしとります。
斑点が配されたその巨体はそのままの軌道を進み続け、目線と同じ高さまで来ます。水をかきながらあっけにとられる人間たちがすぐそばにいても、まったく動じません。その巨体のさりげない美しさとサイズ感を受け入れながらも、いやおうなしにそれに追いつけなくなり、スローモーションのように揺れる尾が青の中に消えていくのを見送ると、自分がちっぽけに思えてきます。

ニンガルーのジンベイザメと共に泳ぐ
他の国ではジンベイザメが違法に漁獲されているところもありますが、ニンガルーのジンベイザメは州法と連邦法でしっかりと保護されています。ジンベイザメを保護し、遊泳する人の安全を守るために、このような交流体験は厳しいルールで統制されています。各ツアーボートには経験豊富なガイドが添乗し、遊泳する人たちがジンベイザメから安全な距離をとり、ジンベイザメが進路を変える必要が生じないように指導します。
一度にジンベイザメと一緒に海に入ることができるのは、ゲスト10人とガイド1人だけです。どの会社も教育的な体験を提供しており、その大半がジンベイザメの独特な模様の写真を研究施設に提供することで科学的研究に貢献し、この神秘的な種の理解と保存に寄与しています。
ツアーでは、シュノーケリングをしてニンガルーに生息する500種もの魚たちと出会うチャンスもあります。運がよければ、もう1種類の温厚な巨大魚、オニイトマキエイにも会えるかもしれません。オニイトマキエイは一年中ここに生息し、特にコーラル・ベイで多くの個体が確認されています。

ニンガルー海洋公園に生息するオニイトマキエイ
舞台の主役はこのサンゴ礁最大の生き物であることは確かですが、ニンガルーの建築家である300種のサンゴも見逃してはなりません。サンゴの石灰岩の骨格の間にいる小さな生き物たちも、じっくりと鑑賞してみてください。このサンゴ礁に住むすべての生物の心臓の鼓動です。
(情報:2023年3月現在)