ジョー・ベイカーの特集記事
ピナクルズ砂漠(Pinnacles Desert)の広大な空の下、カンガルー肉を焚き火でゆっくり調理し、ユルクを添え、ワトルシードのソースで仕上げた一皿が提供されます。ペーパーバークに包まれ、ブラッドルートの香りをまとったマロンザリガニは、カリ森林の静寂と香りを表現しています。そしてデザートには、夕日に染まるキンバリーを眺めながら、ガビンジ、グリーンアント、バオバブの鮮やかな風味を楽しみます。
本物のドリーマーであり、ファーバー(Fervor)のヘッドシェフであるポール(ヨーダ)・イスコフが丹念に紡ぎ出したイマジネーションの世界です。

マーガレット・リバーのペアドで料理の準備をするドリーマー、ポール(ヨーダ)・イスコフ
ファーバーは、季節とともに移動し、地域の先住民である長老たちの知識と寛大な精神を称え、従来のテイスティングスタイルのコースを超える体験を提供するというヨーダのビジョンを体現しています。長いテーブルはその土地の環境によって形を変え、食とワイン、物語を通して人々を美しい景観へと誘う体験が生み出されます。すべての食材は意図を持って選ばれ、すべての組み合わせは土地の感覚に導かれ、共有されるひとときはこの素晴らしいカントリーと地産の味を称えるものです。
「ずっとオーストラリア原産の食材に興味がありました」と語るヨーダは、パースのレストラン・アミューズ(Restaurant Amuse)から、コペンハーゲンのノーマ(Noma)、サンパウロの D.O.M.、メキシコシティのプジョル(Pujol)など世界有数のレストランで経験を積んできました。
「この20年間、西オーストラリア州全域に存在する驚くほど多様な食材に魅了されてきました。それぞれがこの土地の多様性と同じくらいユニークなのです。キンバリー、ピルバラ(Pilbara)、グレート・サザン(Great Southern)に見られる食材には、それぞれまったく異なる物語があります」

クーマル・ドリーミングで収穫された地元食材。写真提供:フランシス・アンドリイッチ
ヨーダにとって、季節の味覚を理解することは、カントリーで時間を過ごし、伝統的なカストディアンから学び、食材の背景にある物語に耳を傾け、それらが採れる自然の場所を探ることから始まります。
「こうしたカントリーでの時間によって、料理の方法が決まっていきます。すべての食材に敬意を払い、シンプルに扱うことで本来の味を引き出すことを思い出させてくれるのです」
お気に入りの食材の一つは、ゴールドフィールズ(Goldfields)でチュパン(Tjupan)語を話すチュパン族の女性、マージョリー・スタブスさんとエディ・ウルリッヒさんと過ごす間に見つけたものでした。
「ハニーアントからカントリーについて驚くべき物語を学べます」とヨーダは言います。その味はとてもユニークで、蜜を集める手間や苦労を知ると、本当に特別な存在だとわかります。マージョリーさんとエディさんが若い世代に知識と言語を伝えていく姿を見るのは本当に素晴らしいことです」

マーガレット・リバーのペアドで開催されたネイチャーズ・テーブル・イベント
西オーストラリア州全域で料理をし、州内の素晴らしい景観の中に長いテーブルを置いて料理を提供してきたヨーダにとって、特別な瞬間を一つだけ選ぶのはほぼ不可能です。
「ピナクルズでのイベントには本当に特別なエネルギーを感じました。まるで夢のようでした。またやりたいですね」とヨーダは微笑みます。「昨年は、ワダンディ・ヌーンガー(Wadandi Noongar)のカントリーにあるマーガレット・リバー地域(Margaret River Region)の美しいカリ森林で料理をしました。ザック・ウェブのアドバイスのもと、地域原産の食材がメインとして長いテーブルに並んだ素晴らしい食事会でした。
「森を歩いたり、ビーチ沿いを歩いたりすると、そうした食材が目に入ってきます。すぐそこにあるんですよ。その土地ならではの感覚を強く感じられます」
名前の由来となったキャラクターのように、ヨーダから多くのシェフが学び、地域特有の食材を敬意を持って探求し、その味の背景にある物語を共有するようになりました。

オーストラリア北西部、キンバリーで赤い砂浜にインド洋が広がる場所
「才能あるシェフがたくさんいて、マーガレット・リバー地域の沿岸部、ピルバラ、キンバリーでも、原産食材を使い、その起源を尊重する人が増えているのはうれしいことです。地域ごとに独自の食材と物語があります」
(情報:2026年1月現在)