マックス・ブレアリーによる特集記事

ケープ・トゥ・ケープ遊歩道を歩けば、マーガレット・リバー地域を知るきっかけになるだけではなく、オーストラリア南西部のこの地域の人々の営みについて知ることができます。

マーガレット・リバーは、まさにその環境の恵みであるワイン造りで有名です。インド洋と南極海が出会う沿岸地域ならではの、長い夏とひんやりした季節の両方が訪れるという気候が、この地域でワイン造りが盛んになった重要な要因の1つとして挙げられています。この地域では、もちろんグルメとワインがその魅力となっていますが、究極的にはこの西オーストラリア州の南西の隅に人々を惹きつけるのは、その多様な景観や沿岸地域ならではのライフスタイルがあるから、そしてそれを毎日体験できるからなのです。

35kmのケープ・トゥ・ケープは、西オーストラリア州のより長距離の遊歩道よりオススメです。端から端まで1週間未満で歩き切れる挑戦となりますし、地元の人々のように、区間に分けて歩くこともできます。

北のナチュラリスト岬から南のルーウィン岬まで続くこの遊歩道をガイドなしで歩くには、その他の長距離の遊歩道に挑戦するのと同じような計画と準備が必要です。しかし、ガイド付きのオプションもたくさんあるので、周囲の魅力に没頭しながら歩くこともできます。Margaret River Discover Companyのショーン・ブロックシッジは、「かなり大変かもしれません。装備を全て自分で担いで歩くのなら、そのために絶対に鍛えておかなければなりませんよ」と言います。

専門的なガイドなら、装備の世話だけではなく、大地、生物多様性、そして歴史に関しても詳しい話をしてくれます。この地域では、Margaret River Discovery CompanyやCape to Cape Explorer Toursなどがガイドを手配しています。また、Walk into Luxuryは、西オーストラリア州で初めて『Great Walks of Australia』に掲載されたコースです。ガイドなしが良ければ、歩くにあたって『The Cape to Cape Track Guidebook』(ジェイン・スコットとレイ・フォーマの共著、Cape to Cape Publishing出版)があると絶対に助かります。

ケープ・トゥ・ケープは、受動的な体験ではありません。最初から最後まで、感覚を覚醒させてくれる旅になります。陸でも海でも、季節によって見られる動植物が変わります。6月から12月なら、沖合にクジラが見えることも珍しくありません。また、8月から10月なら、野花が見られることも珍しくありません。


第1区間:ナチュラリスト岬からワイヤダップ・ステップスまで

第1区間は、ナチュラリスト岬から始まり、そこから南に進んで、灯台からワイヤダップ・ステップスまで行きます。道中、シュガーローフ・ロック、カナル・ロックスなどの海岸線の名所を通ります。

挑戦できる長さの区間に分けて歩いても大丈夫です。多くの人は5つの区間に分けます。そして、ショーン・ブロックシッジのアドバイス通り、競争だと思わないようにしましょう。私はまだ、ケープ・トゥ・ケープを1回で歩ききったことはありません。地元に住んでいるので、いつでも歩き始めたりやめたりできるのです。ということで、区間の分割は自信を持ってお勧めできます。ショーンが言う通り、「立ち止まって野花の香りを嗅ぐ時間を取りましょう」


ケープ・トゥ・ケープ・トラック (Cape to Cape Track)

ケープ・トゥ・ケープ遊歩道

第2区間:クイニナップ・クリフトップ・シートからウィルヤブラップ・クリフスまで

クイニナップ・クリフトップ・シートからウィルヤブラップ・クリフスまで(第2区間)では、石灰岩と花崗岩が混ざる大地を歩きます。道中、ルーウィン・ナチュラリスト国立公園のモーゼス・ロックのすぐ北では、クイニナップ滝が見られます。

第3区間:ミーカデラビー・フォールズからマーガレット川の河口まで

ミーカデラビー・フォールズとマーガレット川の河口の間(第3区間)では、先住民からヨーロッパ人の入植者まで、この地域の歴史に思いを馳せる場面があるのではないでしょうか。ミーカデラビーとは、「月が体を清める場所」という意味です。また、Ellensbrook Homesteadではナショナル・トラストが歴史の1コマを伝える建物を保存しています。数十年をかけてバッセル家が建てたこの建物の建築作業には、受刑者や脱走した船員、それに地元のニューンガー族の人々など、あらゆる人が加わったと言われています。


ケープ・トゥ・ケープ・トラック (Cape to Cape Track)

ケープ・トゥ・ケープ遊歩道


第4区間:コントス・ビーチからハメリン湾まで

コントス・ビーチからハメリン湾まで(第4区間)は、崖の上に広がる荒野から始まり、再生したボラナップの森まで進みます。ハメリン湾の防波堤から木材が輸出されていたというこの地域の最近の歴史を、ここでも感じることができます。


ケープ・トゥ・ケープ・トラック (Cape to Cape Track)

ケープ・トゥ・ケープ遊歩道


第5区間:コージー・コーナー・ブローホールズからルーウィン岬の灯台まで

最終区間となるコージー・コーナー・ブローホールズからルーウィン岬の灯台(第5区間)では、灯台のかなり手前の水車が遊歩道の終着点ということになっていますが、是非そのまま灯台まで歩いてみたくなるはずです。このオーストラリア最南西端では、インド洋と南極海がぶつかります。どのように歩こうと、どれほどかけて歩こうと、きっと忘れられない体験になるはずです。