キャロリン・ビーズリーの特集記事


ワダンディ・ヌーンガー(Wadandi Noongar)族の子孫であるジョシュ・ホワイトランド氏(Josh Whiteland)にとって、「ビラク(Birak)」の季節は正に喜びの時です。「ビラク」は、マーガレット・リバー(Margaret River)地区で乾燥した晴天が続く12月にあたります。ビラクにはさまざまなシーフードが旬を迎え、家族で祝う文化イベントが多数行われます。


クーマル・ドリーミング(Koomal Dreaming)で活躍するジョシュ・ホワイトランド氏

クーマル・ドリーミング(Koomal Dreaming)で活躍するジョシュ・ホワイトランド氏


I太古の昔、ホワイトランド氏の祖先はオーストラリア南西部で移動を繰り返しながら生活を営んでおり、ビラクの季節に内陸部から海岸地域へ戻っていました。

ホワイトランド氏は、「私の先祖は、ビラクの季節に水路で魚を採るための特別な長い槍を作っていました。フジツボや岩ガニ、貝などを砕いたものをエサとして、魚をおびき寄せたのです。」と説明してくれました。

また、ホワイトランド氏は、この狩猟方法が大陸南西部に暮らしていた人々が独自に考案したものだと教えてくれました。

さらに、ホワイトランド氏は、「川が北向きのジオグラフ湾(Geographe Bay)に流れ込む辺りでは、岩が形成する小さめの河口があります」と加えました。

ホワイトランド氏は幼い頃、ビラクの季節に行うフィッシングを楽しみにしていたそうです。

ホワイトランド氏は、「カンバラン(Kambarang、晩春)からビラクへと季節が移り変わる時期には、特徴的な潮の干満が見られます。」とも説明してくれました。干潮時に岩礁を歩き、アワビやさまざまな貝類を家族で採ったことが、楽しい思い出として記憶に残っているそうです。


ヤリンガップ(Yallingup)のクーマル・ドリーミング

ヤリンガップのクーマル・ドリーミング


ホワイトランド氏はさらに、「アワビを採ったら、岩にこすりつけてから殻を剝き、柔らかくします。続いて、一度外したアワビを殻に乗せて炭火で焼きます。」と説明してくれました。

一方、満潮時には干潮時とは異なる海のごちそうが見つかるそうです。

ホワイトランド氏によると、「満潮時には、普段サンゴ礁にいる魚が海岸に近づいてくる」そうです。「槍を構え、海辺でハタを捕ります。手釣り糸を使うこともあります。息子たちも大喜びで手伝ってくれますよ。」と氏は語ってくれました。

ホワイトランド氏が所属する「クーマル・ドリーミング」は、マーガレット・リバー地区を拠点とする数々の賞を受賞したツアー会社です。ビラクの季節は、クーマル・ドリーミングにとって繁忙期となります。ホワイトランド氏が担当しているツアーでは、ヤリンガップ(Yallingup)近くのニールギー洞窟(Ngilgi Cave)に向かいます。洞窟の特殊な構造による独特の音響効果を活かした魅惑的なディジュリドゥの演奏に耳を傾けながら、古代からオーストラリアに伝わる伝統音楽を鑑賞します。


クーマル・ドリーミング、ニールギー洞窟

クーマル・ドリーミング、ニールギー洞窟


ホワイトランド氏と一緒に行くツアーでは、アボリジナルピープルの食べ物にトライして、洞窟を探検し、ディジュリドゥの音色を楽しみます。アボリジナルピープルの伝統食であるブッシュフードや火起こしを体験できるチャンスです。新ツアー「ニールギー洞窟アンシエント・ランド・エクスペリエンス(Ngilgi Cave Ancient Lands Experience)」では、ホワイトランド氏と一緒に洞窟内部の様子を上から見下ろせる展望スペースに行けるほか、氏のサポートで整備されたアボリジナルピープルの歴史を辿れる見どころなどを見学します。

ホワイトランド氏は、「国家の成長を支えながら文化を共有、実践するうえで、観光業は非常に重要な役割を担っています」と述べています。

ホワイトランド氏のツアーでは、季節に応じた旬の食べ物を体験できます。特にビラクの時期では、新鮮な魚や在来品種のチェリー、クアンドン(在来種のモモ)を使ったサラダやマリネも並ぶ豪華なバーベキューを味わえます。

また、ブッシュ・タッカーだけでなく、自然界に生じているさまざまな変化に注意すると、ビラクが近づいていることが分かる、とホワイトランド氏は教えてくれました。風や動物たちの様子が、季節の移り変わりとともに変化するそうです。


ジョシュ・ホワイトランド氏のツアーで食べられるブッシュ・タッカー

ジョシュ・ホワイトランド氏のツアーで食べられるブッシュ・タッカー


「ビラクが近づいてくると、東向きの強い風が午前中に吹き、昼頃には風向きが南西に変わります。これが非常に特徴的なパターンです。」「また、オオトカゲをはじめとする爬虫類がたくさん出てきます。体長1m を超えるトカゲを目にすることもあります。」

また、昆虫の様子も季節の移り変わりを知る重要な手がかりとなります。

「今はハネアリとトンボくらいしかいませんが、本格的なビラクの始まりに近づくと、セミの鳴き声が聞こえるようになります。」

中でも、ビラクの始まりを知らせる明確なサインは花だそうです。特に、ムージャー(moodjar、在来種のクリスマス・ツリー)の鮮やかな黄色い花がビラクの始まりを告げる頃、家族と祖先のつながりを再認識するための祝祭が行われます。

ホワイトランド氏は、「この地に古代から根を張る在来種のクリスマス・ツリーであるムージャーの開花は、先祖の魂の象徴と考えられているので、ムージャーの開花に合わせて多くの祝祭が行われます。ムージャーの開花に合わせて、一族が集まり祝祭を行うのです。」と説明してくれました。 


クーマル・ドリーミングのジョシュ・ホワイトランド氏が案内するツアー

クーマル・ドリーミングのジョシュ・ホワイトランド氏が案内するツアー


(情報:2023年11月現在)