豊かな歴史と活気が共存するフリーマントル(Fremantle/Walyalup)は、何世紀にもわたって人々を魅了し続けてきました。

ジュリー・ホスキングの特集記事

「フリオ(Freo)」の愛称で親しまれるフリーマントルは、過去と現在が見事に融合する、活気に満ちた港町です。美しい海辺のロケーションも相まって、現地の住民はもちろんのこと、世界中から訪れる観光客を惹きつけています。パース(Perth/Boorloo)から車や電車でわずか30分と気軽に行ける距離にあり、半日の日帰り観光に最適です。歴史探訪、アート鑑賞、海辺でクラフト地ビール三昧など、あらゆるテーマで旅を満喫できるのがフリオの魅力です。


脈々と息づく海事史を探る

フリーマントルの魅力は、きらめく大海原が広がるインド洋の絶景だけではありません。この港町は、昔から海事の重要な拠点としての役割を果たしてきました。インド洋を望むロケーションに建つ西オーストラリア海事博物館(WA Maritime Museum)には、訪問者を魅了する多彩な展示が揃っています。実際に乗り込める潜水艦や、海底の様子が手に取るように分かる水中ギャラリー、先住民ヌーンガー族の伝統漁法に関する展示を一通り見学したら、国際ヨットレース「アメリカズ・カップ(America’s Cup)」で見事優勝を勝ち取った伝説のヨット「オーストラリアII号(Australia II)」を竜骨の下から見上げてみましょう。

海事博物館を後にして海岸線を10分ほど歩くと、波乱に満ちた海のアドベンチャーで生き残れなかった船舶の物語が展開される、興味深い施設に到着します。西オーストラリア難破船博物館(WA Shipwrecks Museum)は、数多くの難破船が保存されている有名なスポットです。館内のギャラリーには印象的な展示が並び、思わず惹き込まれるストーリーも紹介されています。難破船博物館のすぐ外にはベイザーズ・ビーチ(Bathers Beach)が広がっているので、博物館の見学を終えたら、日没前に海水浴を楽しめます。また、フィッシング・ボート・ハーバー(Fishing Boat Harbour)にあるシシェレロズ(Cicerello’s)では、絶品のフィッシュ&チップスをテイクアウトできます。一方、かつてワニ養殖場として利用されていた施設を改装した醸造所「リトル・クリーチャーズ(Little Creatures)」では、一日の疲れを吹き飛ばす爽やかなビールを楽しめます。


ベイザース・ビーチ、フリーマントル

フリーマントル、ベイザース・ビーチ


植民地時代へタイムスリップ

活気に満ちた現在のフリーマントルの陰には、苦難の歴史が隠れています。ツーフィート&ハートビート(Two Feet and a Heartbeat)のツアーに参加して、罪人の流刑地としてのフリーマントルが歩んだ植民地時代の歴史を紐解きましょう。ツアーはフリーマントル市役所(Fremantle Town Hall)を出発し、港を通り過ぎて、カプチーノで有名なカフェ通りに立ち寄ります。その後、西オーストラリア州初の刑務所として歴史的意義を持つラウンド・ハウス(Round House)や、有名なフリーマントル刑務所(Fremantle Prison)を見学します。刑務所巡り以外にもフリーマントルの「ダークサイド」を覗いてみたい方は、背筋も凍る犯罪ツアーに挑戦してみましょう。

また、投獄の疑似体験に興味がある方には、フリーマントル刑務所のガイド付きツアーがお勧めです。1850年代に囚人によって建設されたフリーマントル刑務所は、西オーストラリア州で唯一の世界遺産であり、1991年まで実際に罪人が投獄されていました。ガイド付きツアーでは、歴史の深層に足を踏み入れ、徒歩とボートで1kmにわたる迷路のような地下トンネルを探検します。上記以外にも、夜に懐中電灯を手に刑務所内を探検するスリル満点のナイトツアーも用意されています。


フリーマントル刑務所トンネルツアー、フリーマントル

フリーマントル、フリーマントル刑務所の地下トンネルツアー


アートの世界に浸る

フリーマントルには、文化に親しめる興味深いスポットが各所にあります。ジョージアン様式やビクトリア朝時代の建物が並ぶ、絵画のように美しいウェスト・エンド(West End)から、フリーマントル自慢の見事なアートギャラリーを巡ってみましょう。見学は無料で気軽に楽しめます。PSアートスペース(PS Art Space)は、斬新な現代アート作品が多数展示されているギャラリーです。一方、すぐ近くのハイ・ストリート(High Street)には、ジャピンカ・アボリジナル・アートギャラリー(Japingka Aboriginal Art Gallery)があり、全国各地から集められた3,000点を超えるアボリジナルアートが展示されています。ジャピンカ・アボリジナル・アートギャラリーから徒歩数分の場所には、7室のアートスタジオが整備された素朴な雰囲気のムーアズ・ビルディング・アートスペース(Moores Building Art Space)があります。このアートスペースでは、新進気鋭のアーティストや世界に名を馳せる芸術家が活躍しています。

ウェスト・エンドを後にして、イースト・エンド(East End)へ向かうと、壮麗なゴシック様式のフリーマントル・アートセンター(Fremantle Arts Centre)に辿り着きます。館内で最新の展示を鑑賞したら、併設のショップ「ファウンド(FOUND)」で西オーストラリア州内でデザインされたお土産グッズを見てみましょう。金曜日や週末にフリーマントルを訪れる予定の方は、長い歴史を持つフリーマントル・マーケット(Fremantle Markets)にぜひ立ち寄ってみてください。マーケットでは、フリーマントル周辺で活躍しているアーティストやデザイナーが、1897年から引き継がれているスタイルで作品を販売しています。また、フリーマントルでは、陶芸クラスを通じて、ものづくりの魅力に触れることができます。プリックリー・ペアー・スタジオ(Prickly Pear Studios)では、日中や夕方に陶芸クラスが開催されています。ランチやディナーの前に、ろくろを回してクリエイティブな時間を満喫しましょう。


フリーマントル・マーケット、フリーマントル

フリーマントル、フリーマントル・マーケット


ひと息ついて、気分をリセット

フリーマントルでは、一日のどの時間帯でも美味しい食事を楽しめます。ラウンド・ハウス近くのカフェ、リトル・フレンチ・ネスト(Little French Nest)のフレンチトーストやクレープ、またはチャーキーズ・エスプレッソ・バー(Chalkys Espresso Bar)のポーチドエッグと砕いたアボカドを乗せた焼きたてトーストで、元気に一日をスタートしましょう。午前中の観光を楽しんだ後は、ゲージ・ローズ・ブルワリー・カンパニー(Gage Roads Brew Co)で、港を行き交う船を眺めながら、ゆったりとランチを楽しみましょう。週末であれば、エミリー・テイラー(Emily Taylor)で点心(ヤムチャ)を予約するのも一案です。また、シャーリーズ(Shirley’s)では、ロットネスト島(Rottnest Island/Wadjemup)近海で採れたホタテをはじめとする新鮮な海の幸を心ゆくまで味わえます。一日の締めくくりには、H&Cアーバン・ワイナリー(H&C Urban Winery)で、軽食とドリンクを楽しみながらリラックスタイムを過ごしましょう。また、旧シナゴーグ(Old Synagogue)を見事に改装した建物内には4軒の飲食店が入っており、そのうちの一つ、トニック+ジンジャー(Tonic + Ginger)では、評判のアジアン・フュージョン料理を味わえます。

フリーマントルでは、街中でおいしい食べ物とドリンクを楽しめます。食べたり飲んだりするだけでなく、「造る」体験も楽しみたい方は、リパブリック・オブ・フリーマントル(Republic of Fremantle)に行ってみましょう。バーを兼ねたこの蒸留所では、スピリッツ教室に参加して、自分だけのオリジナル・ジンを蒸留したり、カクテル作りの技術を磨いたりすることができます。もちろん、自分の手は動かさず、出来立てのドリンクを味わうだけのオプションもあります。フリーマントルの街中に佇む蒸留所を見学するガイド付きツアーに参加し、ウォッカやジンの試飲を楽しんだ後は、評判の受賞メニューをレストランで心ゆくまで味わいましょう。乾杯!


フリーマントル共和国、フリーマントル

フリーマントル、リパブリック・オブ・フリーマントル


(情報:2025年2月現在)